2025.10.13本学教員 村木特任教授制作の慰霊碑、坂本弁護士一家追悼式にて紹介

本学教員の村木薫特任教授が制作された坂本弁護士一家の慰霊碑について、新潟県上越市で行われた追悼式の様子が新聞記事として取り上げられました。
◆朝日新聞記事「坂本弁護士一家殺害事件、遺体発見から30年 彫刻家が碑に託した思い」
「坂本弁護士一家メモリアル慰霊碑の制作に寄せて」
1989年、坂本弁護士一家殺害事件が起き、坂本堤弁護士、妻の都子さん、長男の龍彦ちゃんがオウム真理教によって殺害され、それぞれが別々に山奥に遺棄され、6年後に遺体が発見された事件でした。その後、「坂本弁護士と家族を救う全国弁護士の会」からの依頼で、1997年にメモリアルを3か所の遺体発見現場近くに建立させていただきました。
理不尽な死に対する怒りや憤りを感情的に表現するのではなく、別々の場所に埋められた三人が、離れずに天に昇ることへの祈りの形にすることにより、志半ばで亡くなった坂本一家への鎮魂になると考えました。
3つのゆるやかな曲面のある円環は三人の生命の象徴です。龍彦ちゃんのリングは「生まれたばかりの無垢な魂の象徴」として完璧な円環としましたが、両親のリングの上部に少し削ったくぼみがあります。人は完璧なものではなく、欠けている部分があるからこそ努力するものという点を表したかったからです。そして三人の絆の深さを表すため、一つの桜御影石の塊から3つの円環を削り出す形で作りました。
2025年9月6日に日弁連が主体となってメモリアルの維持管理を担う調印式が行われました。私にとって28年ぶりの碑との再会でした。
「この一家を忘れないで」そんな願いを碑に託しました。正義感に基づく仕事を力でねじ伏せようとした人々と戦った坂本弁護士の事を次の世代に知ってもらいたいと思っています。
彫刻家・新潟中央短期大学特任教授 村木 薫

